Q 高いグラン・ヴァンを買うなら、
コスパがいいニューワールドの方がいい?

A アメリカ、チリ、オーストラリア、ニュージーランド、アルゼンチン、南アフリカなどのワインを『ニューワールドのワイン』と呼びます。フランスのトップシャトーなどが参画し、最新の醸造設備を入れ、「安くて美味しいワイン」と評価を上げました。
しかし、ニューワールドのワインとグラン・ヴァンとでは決定的な違いがあるのです。それはワインが持つポテンシャル。つまり、瓶熟することによって、美味しいワインに育つかどうかという潜在的な力です。
ニューワールドのワインも瓶熟をさせると、減酸してタンニンはまろやかになります。しかし、グラン・ヴァンのように“より大きなハーモニー”にはならないのです。“より大きなハーモニー”とは、すばらしい奥行きが出て、味に立体感があり、香りが広がる余韻の長いワインのこと。価格の違いはそこにあったのです。
高いグラン・ヴァンの楽しみは、すばらしく熟成したワインを味わうこと。年間を通してゆるやかな温度変化を与え、理想的な条件でワインのポテンシャルを最大限に引き出してあげたいものです。

デイリーワインを美味しく変える方法

グラン・ヴァンは美味しいけれど、いつも高価なワインは飲めません。そこで登場するのが安価なデイリーワイン。赤ワインであれ、白ワインであれ、そんなデイリーワインをより美味しく飲む方法があります!
ワインの知識がある方なら、大ぶりな良いワイングラスは、香りや味わいを的確に引き出してくれることをご存じでしょう。デイリーワインが安いのは、自己主張が少ないからです。少ない自己主張を最大限に引き出すために、大ぶりな良いワイングラスで飲んでみましょう。同じワインでも美味しく感じられるはずです。
また、デイリーワインは若いワインが多いため、アルコール臭が残っています。そのアルコール臭を飛ばすために、デカンタージュをするか半日以上前に抜栓しておきましょう。早く抜栓することで減酸され、まろやかなワインになります。

Q「若いワイン」と
「力強いワイン」は同じ?

A 若いワインは荒々しく、口に含むとまず強烈な酸のアタックがあり、次に強いタンニンのアタックが来て、アフターテイストに糖を感じます。これが、瓶塾が進んで飲み頃になると、ピリピリした酸はなく、キュッと口をすぼめるようなタンニンもなく、全ての味を一体化して感じるのです。この状態を「ハーモニーが完成した」といいます。
力強いワインとは、決して酸やタンニンのアタックが強いワインのことではありません。完成したハーモニーが、口の中でしっかりと立ちのぼり、広がるワインのことです。

「刺身には白ワイン」というウソ!

多くの方は「魚料理には白ワイン、肉料理には赤ワイン」と考えているのではないでしょうか? ところが実際には、白身魚の刺身と白ワインを合わせると、生臭くてしかたがありません。ここで、「やっぱり、刺身はワインに合わない」とあきらめてはいけません。ワインを赤ワインに変えると、生臭さを感じなくなります。
醸造学会の論文には、その理由が次のように書かれています。魚はエネルギー源として、体内にアデノシンIIIリン酸という物質を蓄えています。これは、死後に分解されてうまみ成分のイノシン酸になるのです。イノシン酸は白ワインに含まれるリンゴ酸と混じるとアミノ酸に変化し、アミノ酸が消化分解されるとき生臭さを出します。このような理由から、刺身と白ワインを合わせると生臭いのです。逆に、タンニンであるポリフェノールには、醤油やわさびと同じように生臭さを感じにくくする作用があるため、赤ワインとよく合います。
「刺身には赤ワイン」が美味しい組み合わせだったのです。

 

 

Q 10年もののワインでも「若々しい」
と呼ばれるワインがあるのはなぜ?

A ワインを地下のカーヴで保管していると、自然な温度変化で瓶熟が進みます。それにより、ワインは育ち、酸やタンニンがまろやかに溶け込んでいくのです。ところが、温度変化がない定温貯蔵庫のワインセラーで保管していると、ワインは冬眠状態となり、いつまで経っても若いままで育ちません。つまり、瓶熟していないため、酸やタンニンのアタックが強いのです。10年もののワインでも「若々しい」と呼ばれるワインがあるのはそのため。瓶詰めしてからの経過年数と、ワインの熟成具合が必ずしも一致しないのです。
定温貯蔵庫のワインセラーで保管していると熟成が進みませんから、飲み頃にしようと思えば、地下カーヴのようにゆるやかな温度変化を加えなければなりません。

 

 

白ワインのすごい殺菌力で、
ぬか床にカビが生えない!

政府から依頼を受けた某研究機関が、O157対策として白ワインに注目しました。何しろ、O157を培養したシャーレの中に、白ワインを1滴垂らすと、菌は全て死滅したのです。白ワインの殺菌力はそれほど強い。フランス人がお腹を壊さないよう、生牡蠣を白ワインと合わせる理由もそこにあります。生牡蠣との相性は、ピノ・ノワールの方がいいにも関わらず・・・。
ちなみに、ぬか床に白ワインを大さじ1〜2杯を掛けて置くと、1週間放置してもカビが生えません。ただし、多く入れるとぬか漬けにワインの風味が移ると同時に、ぬかの風味が消えます。実際にぬか床に白ワインを入れる場合は、大さじ1〜2杯から好みによって増やしてください。

 

 

Q ドメーヌやシャトーで飲むワインは
なぜ美味しいの?

A フランスのドメーヌやシャトーを訪ねてワインを試飲した方は、よく「やっぱり、作り手はいいワインをキープしている」と言います。しかし、ドメーヌやシャトーが特にいいワインを選んで保存しているわけではありません。では、なぜ、現地で試飲すると美味しいのでしょう?
彼らは瓶詰めしたワインを、紫外線に侵されないよう、カーヴと呼ばれる地下のワイン庫で保管しています。夏でもひんやりと感じるカーヴですが、日本人が使用している定温貯蔵庫のワインセラーと異なり、自然ですから当然、冬よりも室温が上がっているのです。
年間を通してゆるやかな温度変化がある地下のカーヴ。もちろん現地の雰囲気もありますが、この温度変化こそが、ワインを瓶熟させ、美味しく育てていたのです。

 

 

日本のワインをダメにしたのは
デパート!?

日本で自由に外国産ワインを輸入できるようになったのは1972年のこと。私たちがワインを自由に飲めるようになって、まだ、半世紀(50年)も経っていないのです。
はじめにフランスやドイツからの輸入ワインを売り始めたのは、デパートでした。その大半は贈答品。当時の日本人にとって、ワインは高級で珍しい飲物だったのです。ワインの知識を持ち合わせていようはずもありません。
今から25〜30年前でも、デパートには多くのワインが返品されてきました。その理由は「カビが生えている」というもの。いい状態で瓶熟が進むと、コルクにカビが生えるということを知らなかったのです。受け取ったお客様は、きっと、「カビの生えている物を送ってきた」と腹を立てたことでしょう。また、「水っぽい」という理由での返品もありました。飲み頃になると暴れていた酸やタンニンが落ち着いて、まろやかになるということを知らなかったのです。ですから、デパートの倉庫には、飲み頃の美味しいワインが次々と返品されてきました。
困ったワイン輸入業者(インポーター)が考えついたのは、低い温度で定温保存をして瓶熟を止めてしまうということ。以来、定温貯蔵庫のワインセラーでの保存が一般化してしまいました。

 

 

Q ワインの熟成は、
瓶詰めしたら終わるの?

A 通常、ワインにおいて『熟成』といえば、樽の中で熟成させる『樽熟成(エルバージュ)』をさします。ドメーヌやシャトーは樽熟状態を見極めて瓶詰めしなければならず、樽熟を知ることは重要なことなのです。そのため、発酵学としても研究され、論文なども多く発表されています。逆に、瓶詰め後の発酵である『瓶熟』について書かれた文献は見当たりません。そのため、「ワインの熟成は、瓶詰めしたら終わる」と思っている方も多いようです。しかし、瓶に詰めれば熟成が終わるわけではありません。
ではなぜ、瓶熟はほとんど究明されていないのでしょうか? おそらく、瓶熟はドメーヌやシャトーが売り渡した後、個々の問題となるため、研究する人がいないのでしょう。ドメーヌやシャトーの方々に伺っても、瓶熟について科学的に詳しく説明できる方はいませんでした。
瓶の中でも熟成を続けているワイン。最後の仕上げは、皆さんが瓶の状態で行わなければならないのです。

 

 

Q ワインの保管に、湿度は重要ですか?

A ビンに栓をしているコルクが乾燥すると、空気を通してしまい、ワインが酸化するといわれています。そのため、コルクにワインが接するよう、横に寝かせて保管するのです。
ワインボトルを寝かせておけば、常にワインが接しているためにコルクは湿っています。ですから、あまり湿度を気にしなくてもいいでしょう。